社会への取り組み
お客様とともに
基本的な考え方
オートオークションは、「出品してくださる会員」と「落札してくださる会員」がいて初めて成立します。このため、会員企業にとって利用しやすい「商いの場」を提供することが当社にとっての大きな責務となります。
さらに、オートオークションで取引された中古車は最終的にエンドユーザーの元に届くということを忘れてはならないと、強く認識しています。エンドユーザーの安全・安心を守るためには、当社に出品された車両の状態を正確に検査し、適正価格で流通できるようにすることが重要です。
会員企業と消費者の双方から信頼される中古車流通市場の創造を実現すべく、当社は業界をリードし、積極的に取り組んでいきます。
中古車流通市場の信頼性を向上させるために
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会員情報の管理
当社のオートオークションは会員制であり、会員の多くは中古車販売業を営んでいます。これらの会員の情報には個人情報が含まれているため、個人情報保護方針に基づいた厳正な管理を行っています。
個人情報保護方針については、「プライバシーポリシー」をご参照ください。 -
オートオークションにおける不正取引の防止
中古車流通市場を公正で透明性の高いものにするため、当社は創業以来、常に「公平・公正」を理念としてオートオークションの運営を行っています。オートオークションにおいて、適切な情報管理は欠かせない要素です。公平・公正な市場を提供するため、監視システム等を通じて適正に取引がされているか厳重に管理しています。
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車両の正確な評価・正確なデータ提供
車両検査を見落としなく適正に行うこと、出品車両データを正確に伝えることは、会員にとってもエンドユーザーにとっても非常に重要です。
当社では車両検査にあたって、独自の厳正な検査体制で10段階の評価点を付ける方式を採用。各会場では、当社独自の資格を取得した車両検査員が検査を担当しています。評価基準に沿った検査をスピーディに実施し、情報は出品票にまとめられた後にデータベース化され、リアルタイムの情報検索が可能となっています。 -
走行メーター管理システム
かつての中古車流通では、走行メーターを改ざんするといった不正が行われており、それがエンドユーザーの不安や不信感につながっていました。
公平・公正を第一とする当社では、創業当時からこうした不正を撲滅するという姿勢を貫いてきました。それが、2001年の一般社団法人日本オートオークション協議会の創設や、同会による「走行メーター管理システム」の運用へとつながっています。
「走行メーター管理システム」には、全国のオートオークション会場で出品された車両の車台番号と走行距離がデータベースとして蓄積されているため、出品車両をデータベースと突き合わせることでメーター改ざんの判定が可能となっています。
より利用しやすいオートオークション会場づくり
当社のオートオークションは、全国19カ所の会場で開催される現車オートオークション「USSオートオークション」と、衛星TV専用端末機を使ってセリに参加する「USSグローブネットワーク」、インターネット回線を介してセリに参加する「USSインターネットライブ」の3種類の参加方法があります。
全国の現車オートオークション会場では週1回セリが行われ、会員が実際に出品車両を下見・確認できるようになっています。全国どの会場でも公平・公正な車両検査やサービス、接客を提供できるよう、教育・研修を徹底しています。
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会員向けのセミナー・勉強会
オートオークション会場では、会員向けに様々な講習会や勉強会を開催しています。オートオークション会場の利用説明会、車両検査の講習会、自動車関連の税金セミナー、中古車販売に必要な書類についての講習会などのほか、新車ディーラーから講師を招いて新型車両に関する勉強会なども実施しています。会員のニーズに応じた情報を提供し、ビジネス上の悩みや困りごとを解決するきっかけとして、好評をいただいています。
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魅力あるオートオークション会場をつくるために
当社の各会場では、中古車をカテゴリーや価格帯で分類した「コーナー」を設定しています。例えば、エコカー専門の「ハイブリッド・EVコーナー」など、市場の変化に対応したコーナーを設けることで、会員の出品しやすさ・落札しやすさに貢献することができ、会場の独自性も際立つと考えています。
イベント開催時には、来場した会員向けに景品をお渡ししています。各地域の名物や、被災地の復興支援を目的とした景品を選び、会員の満足度向上に努めています。 -
会員のニーズにあわせた設備・仕組みの導入
当社では、落札時における名義変更に必要な各種書類等についても、当社が車検証・譲渡証明・印鑑証明等を受領したうえで確認するとともに、車両代金の入金確認を行うことで、取引がスムーズに行えるようにしています。
また、現在、当社では古い会場の建替えやリニューアルを進めています。その際には、オートオークションホールの机や椅子などの備品を、より使いやすく居心地のよいものへと入れ替えるなどの配慮を行っています。
当社の各会場に足を運ぶ会員は、オートオークションに参加することはもちろんですが、他の会員と情報交換を行いたいというニーズも持っています。そこで、各会場内にソファや喫茶室などを設け、コミュニケーションの場として活用いただいています。長い時間を会場で過ごす会員も多いことから、レストランでは無償で食事を提供しています。また、マッサージルームなどのリラクゼーション施設も設けています。 -
人権への配慮
USSグループは、企業の構成員として、人種、民族、国籍、性別、宗教、信条、障がいの有無、性的指向・ジェンダーアイデンティティなどによって差別してはならないことを「USS行動・倫理規範」で明文化し、徹底を図っています。また、会員においても人種、民族、国籍、性別、宗教、信条、障がいの有無、性的指向・ジェンダーアイデンティティによって差別することなく対応を行っております。さまざまな国の方が来場するオートオークション会場では、例えば、イスラム文化圏の方のため、専用のお食事をご用意し、礼拝室も設置するなど、気持ちよくオートオークションに参加していただけるように、できる限り固有の文化に対応した施策を実施しています。
クレームへの対応
(株)ユー・エス・エスでは、落札者からの異議申し立て(クレーム)を受け付け、斡旋仲裁を行う制度を設けています。
また、クレーム管理システムを構築し、USS全体での情報共有と対応の迅速化に努めています。発生したクレームの内容、担当者の対応、解決までに要した時間などをデータベース化することで、類似のクレームが発生した際にデータに基づいた対応が可能となります。このデータを活用して、検査員別にクレーム発生状況を分析し、検査員のスキル向上に役立てる取り組みも行っています。
社員とともに
基本的な考え方
USSグループの成長性や競争力を支えているのは、一人ひとりの社員です。このため、社員が持てる能力を最大限に発揮し、積極的に業務を遂行できる環境を整えています。
また、社員が安心して働くことができ、互いに尊重し合いながら能力を伸ばすことができるような職場づくりや評価・処遇制度の構築にも力を入れています。
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人権の尊重
USSグループは、企業の構成員として、互いに人種、民族、国籍、性別、宗教、信条、障がいの有無、性的指向・ジェンダーアイデンティティなどによって差別してはならないことを「USS行動・倫理規範」で明文化し、徹底を図っています。
また、USSグループの事業は日本国内でのオートオークション会場運営が中心であるため、児童労働・強制労働は起こりにくい環境にあり、現在のところ児童労働・強制労働の発生は確認されていません。
人権侵害や差別、児童労働・強制労働の事案を未然に防ぐために、日常の業務点検の中でチェックを行っています。また、もし社員が違反を発見した場合には、内部通報制度「USS企業倫理ヘルプライン」を通じて通報できる体制を整えています。
2020年度は、グループ内で人権侵害・差別に関する重大な違反の発生はありませんでした。
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男女の機会均等
USSグループでは、性別にかかわらない雇用機会や待遇における公平の実現に努めています。採用および昇格・昇給において、性別による差別はなく、将来性の高い人材を多数採用するとともに、中途・新卒に関わらず、優秀な人材に対しては積極的に登用する機会を提供する姿勢を徹底しています。
また、当社の役員のうち、1名(役員のうち女性の比率9.1%)が女性の社外取締役です。
雇用・採用
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地域を重視した採用
全国にオートオークション会場を持つ当社では、地元から社員を雇用することで地域の活性化に貢献したいという思いから、採用にあたって各事業所で1次面接を行う方式をとっています。その後、本社での面接を経て、各地域で働けるように配属することを大前提としています。
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従業員の離職
2020年度、当社における自発的理由による離職率は2.9%でした。
公平な評価・処遇
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給与体系
USSグループでは、各地域で定められた最低賃金を上回る給与を支払うことを遵守しています。また、社員の積極性を高く評価し、その提案を経営に活かすことを目指しています。2014年には、人材確保や社員のキャリアアップを目的として、実力重視型の人事・給与制度を制定しています。当社の2020年度の平均年間給与は616.9万円でした。
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人事評価
人事評価は、各階層に対する役割行動の基準に沿って、年2回の評価を実施する制度を運用しています。被評価者は、設定した目標に対する達成度、業務対応力向上のための取組みや業務改善等の具体的な取組みについて申告するとともに、チームワークや業務改善の意欲、業務処理能力などから構成された項目によって評価を受けます。人事評価については、評価者と被評価者が面談をする仕組みとなっており、次期の取組み目標などについてもコミュニケーションを取れる機会を設けております。
また、よりよい職場づくりのための業務改善提案を全社員から随時募集しています。寄せられた一つひとつの提案を会社がしっかりと受け止め、一つでも多く反映することで、よりよい会場運営と社員のモチベーションアップにつなげています。
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福利厚生制度
(従業員持株制度(ESOP))
USSグループに対して中長期的な企業価値向上へのインセンティブを付与すると同時に、福利厚生の増進策として、持株会の拡充を通じて従業員の株式取得および保有を促進することにより従業員の財産形成を支援することを狙いとし、従業員持株制度(ESOP)を導入しております。(LTD制度(団体長期障害所得補償保険))
病気や怪我によって長期間仕事ができなくなった従業員に対し、定年年齢まで収入を補償し、療養に専念できる環境を整え、早期の就労復帰を支援するため、LTD制度(団体長期障害所得補償保険)を導入しております。(退職給付制度)
当社および連結子会社5社は、非積立型の確定給付の制度として退職一時金制度を採用しております。また、当社および連結子会社8社は確定拠出年金制度を採用しております。連結子会社1社は、積立型の確定給付の制度として、確定給付企業年金制度を採用しております。
教育・研修
USSグループでは、一人ひとりの社員が会社を支える資源でもあり財産でもある「人財」として活躍できることを目指しています。
教育にあたっては、OJT(日常業務を通じた社員教育)第一主義を掲げ、教える者・教えられる者がともに育つ「共育」を実践しています。
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新入社員教育
入社時に、業界知識やビジネスマナー、業務知識を学ぶ新入社員研修を実施しています。その後、若手の先輩社員が担当(メンター)となり、日常業務の指導や、社会人生活の不安・悩みに対するサポートを行います。
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接客マナー・身だしなみ教育
「USSお客様サービスの基本」として掲げる、(1)身だしなみ、(2)笑顔、(3)あいさつ、(4)言葉づかい、(5)電話対応、の5項目について、具体的なルールや手順を定めて励行しています。
また、身だしなみについては、各職場で毎週1回、部長クラスまでを対象としてチェックを実施しています。
身だしなみや、電話・接客時の応対のチェック結果は、人事考課にも反映しています。 -
管理職向けの研修
次長以上を対象としたマネジメント研修では、オートオークションの運営に関する考え方や目標の設定などに関して議論を行うほか、外部講師を招いた講演会等も開催しています。
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車両検査員の教育・育成
オートオークションにおいては、出品車両の検査を正確に行うことが最重要の課題です。全国各地の会場で判断にばらつきがでないよう、一定の基準で高い精度の検査を実現する必要があります。
当社では、車両評価・検査技術の向上と均質化を目指し、独自の「検査員資格制度」を2006年に制定しました。検査員に対して年1回の実技試験を実施、1〜4級の資格を定めています。また、検査員の指導・育成と検査員資格制度の運営にあたるインストラクターとトレーナーを配置しています。インストラクターは全国の各ブロックに1人ずつ、トレーナーは各会場に1人ずつ配置され、車両検査レベルの均質化に努めています。
多様な人材の活躍を支える仕組み
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ダイバーシティの実現に向けて
USSグループでは、男女の区別なく、採用や評価・処遇を行っています。ただし女性管理職の数はまだ少なく、今後の育成が課題となっています。
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長時間労働対策
USSグループでは、繁忙期における長時間労働を削減し、働きやすい職場を目指して、残業の管理を徹底してきました。長時間労働を防止・改善するため、業務の効率化やシフト制を導入するほか、会場ごと、子会社ごとの労働時間について取締役会等で報告を行うとともに、必要に応じて対策を協議しています。
2019年度の月間平均残業時間は26.0時間、2020年度の月間平均残業時間は17.7時間となっております。引き続き、月間20.0時間以内を目標として、業務の効率化や先進技術の導入により、働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。
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休暇・休業の取得
年次有給休暇については、2020年度における全社の取得率が50.6%となっており、さらなる取得率向上に向けた呼びかけなどを行っています。
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メンタルヘルス対策
メンタルヘルス対策として、外部の専門事業者と契約し、社員のメンタルヘルス不調の未然防止に役立てています。また、不調者が出た場合も、適切なサポートができる体制を整えています。
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ハラスメントの防止
USSグループでは、「セクシュアルハラスメントの防止に関する規程」および「パワーハラスメントの防止に関する規程」を整備し、全社員に周知徹底しています。
また、ハラスメントに関する相談および苦情処理の窓口として、「USS企業倫理ヘルプライン」を設け、相談または苦情の申し出があった場合に、必要な措置を講ずることができる体制を構築しております。
労働安全衛生
USSグループが持続的に発展するためには、社員一人ひとりの健康・安全の確保が不可欠です。このため、全社員を対象とした定期健康診断の実施に加え、45歳以上の社員に対しては、会社が費用を負担して、定期健康診断よりも検査項目数が多い付加検診の受診を義務付けております。今後も積極的に社員の健康維持・増進の支援に取り組むとともに、良好な職場環境の維持や、社員の安全確保を実現していきます。
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衛生委員会
USSグループでは、職場における安全衛生の向上を目的として、社員50名以上の事業所に「衛生委員会」を設置しています。衛生委員会は原則として月1回開催し、各事業所において社員の健康を維持するための対策や衛生に関する事項を審議しています。
社内コミュニケーションの促進
USSグループでは、日々の業務を円滑に進めるために、事業所・部署を越えた社員同士のコミュニケーションを大切にしています。社員同士の親睦を深めるために、定期的に国内・海外各地への社員旅行を実施しています。
項目 | 内訳 | 単位 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
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社員の状況 | 従業員人数 | 人 | 572 | 588 | 624 | |
うち男性 | 人 | 438 | 440 | 457 | ||
男性比率 | % | 77% | 75% | 73% | ||
うち女性 | 人 | 134 | 148 | 167 | ||
女性比率 | % | 23% | 25% | 27% | ||
従業員平均年齢 | 歳 | 39.3 | 39.4 | 38.9 | ||
うち男性 | 歳 | 40.8 | 41.1 | 41.2 | ||
うち女性 | 歳 | 34.6 | 34.2 | 32.6 | ||
従業員平均勤続年数 | 年 | 12.6 | 13.1 | 13.1 | ||
うち男性 | 年 | 13.8 | 14.4 | 14.7 | ||
うち女性 | 年 | 8.9 | 9.4 | 8.8 | ||
新規採用者 | 人 | 27 | 41 | 62 | ||
うち男性 | 人 | 16 | 19 | 32 | ||
男性比率 | % | 59% | 46% | 52% | ||
うち女性 | 人 | 11 | 22 | 30 | ||
女性比率 | % | 41% | 54% | 48% | ||
管理職の構成 | 管理職人数 | 人 | 31 | 33 | 33 | |
うち男性 | 人 | 31 | 33 | 33 | ||
男性比率 (全体) |
% | 100% | 100% | 100% | ||
うち女性 | 人 | ー | ー | ー | ||
女性比率 (全体) |
% | ー | ー | ー | ||
育児休業 | 育児休業取得者数 | 人 | 1 | 11 | 10 | |
うち男性 | 人 | ー | ー | 2 | ||
うち女性 | 人 | 1 | 11 | 8 | ||
介護休業 | 介護休業取得者数 | 人 | ー | ー | ー | |
うち男性 | 人 | ー | ー | ー | ||
うち女性 | 人 | ー | ー | ー | ||
有給休暇 | 有給休暇取得率 | % | 54.8% | 50.0% | 50.6% | |
残業時間 | 月間平均残業時間 | 時間 | 27.3 | 26.0 | 17.7 | |
正社員の離職率 | % | 4.8 | 4.6 | 2.9 |
地域や社会への貢献
基本的な考え方
当社は、経営理念の中で「地域への貢献」を掲げ、地域社会と積極的に関わり、良き企業市民として地域の振興・発展に貢献することを目指しています。
当社のオートオークション会場が地域に存在することで、自動車のリユース・リサイクルが効率よく行われるようになり、中古車関連ビジネスの活性化・ビジネスチャンスの拡大につながります。また、地域に雇用を創出するとともに、自治体に対する納税の義務を果たすことで、地域の振興に貢献し、共存共栄を果たすことができると考えています。
オートオークション会場での取り組み
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会場運営にあたっての地域への配慮
オートオークション会場は巨大な施設であるため、当社では工業地域に用地を確保して建設する戦略をとっており、地域住民の皆様の生活にできる限り影響を及ぼさないよう配慮しています。会場には多くの来場者や大型キャリアカーの往来があることから、事故の防止にも努めています。
地域住民の皆様からご意見・ご指摘をいただいた際には、その声を真摯に受け止め、できるかぎりの改善をしています。各会場の状況に合わせた対応を行い、地域の皆様から信頼される会場づくりを目指します。 -
災害時避難所として会場施設を提供
自治体からの要請を受け、一部のオートオークション会場で災害時に立体駐車場を避難場所として活用いただけるようにする災害協定を締結しています。
発展途上国・新興国の経済活動への貢献
USSグループで取り扱う中古車のうち、一定量は発展途上国・新興国へと輸出され、現地で活用されています。経済成長が著しい発展途上国・新興国では中古車に対するニーズは高く、特に日本の中古車の品質は高く評価されています。
当社が扱う中古車は厳正な検査により1台1台評価されているため、輸出先でも安全・安心を提供することができると考えています。
地域活動への参加
USSグループでは、オートオークション会場などの事業拠点が立地する地域企業と連携して、よりよい地域づくりのための議論や清掃活動などに参加しています。
また、町内会や地域のお祭りといったイベントにも協力し、地元との関係を深めています。