次世代の人材育成とプロジェクトを推進し持続的な成長を実現していきます。

COO Message

旺盛な需要を背景としてオートオークション事業の市場シェア50%を目指し成長投資を実施していきます。

 昨年、USSはステークホルダーの皆様にオートオークション事業の市場シェア50%を目指すことをお約束しました。その実現に向けて、中長期的な視点で成長投資を実施していきます。設備面では、2024年度から2025年度にかけて、横浜会場の建物・コンピュータを一新する予定です。さらに、HAA神戸会場、東京会場など既存の大型オークション会場には、今後数年かけて大きな設備投資を計画しています。デジタル面では、衛星TVオークション「USS JAPAN」を2024年1月にリニューアルし、契約数が増加しています。システムの利便性を向上させたことに加え、これまで5~6年のリース契約で運用していたものを、今回のリニューアルからレンタル方式の契約に変えたことで契約のハードルが下がったことも、契約増加要因の一つと認識しています。2024年度中には、端末の数を2,000台に拡大する計画で営業活動を推進しています。
 さらに2024年11月頃には、スマートフォンでのリアルタイムな応札が可能となる外部落札システムが稼働します。お客様の利便性を向上するサービスの一環として、トライアル的に実施する計画です。
 オートオークション事業の外部環境を見ると、円安と物価上昇の影響が良い意味で大きくなっています。当社のオークションを利用する会員の中古車販売店が円安の影響で海外からの多くのオーダーを受けているようです。円安が続く限り、この傾向は継続していくでしょう。また、物価上昇の面では、新車価格も上昇しているため、中古車の国内需要も旺盛になってきています。この2つの強い需要により、売値、すなわち成約単価が上がっています。国内需要と海外需要競争状態にあるといってもいいかもしれません。国内自動車メーカーの海外シフトの影響もあり、車種によっては国内の新車が減少しています。つまり、中古車の台数も少なくなりプレミア価格が付き、新車価格より高くオークションで取引されることさえあります。価格の高い良質な中古車は当社へ多く出品されており、こうした状況は当社にとって出品台数の増加と市場シェアの拡大につながることが期待できます。
 むろん、外部環境に大きな変化が生じれば、ビジネスにも影響が出てくる可能性はあります。そうしたリスクも想定しながら市場シェアを着実に伸ばし、安定した収益を獲得できるロードマップを策定していきたいと考えています。そのために2024年4月には、執行役員および幹部社員8名からなるプロジェクトチームを立ち上げました。このチームで、自社の強み、弱みなどを分析し共有しながら、事業の方向性や施策を検討していきます。その内容について、私を含めた経営陣で議論を重ね、目標設定や投資計画など、さまざまな経営判断をしていくのが、このプロジェクトの目的です。2024年の夏から秋頃には、第1回のプレゼンテーションが実施される予定で、非常に期待しています。次世代を担う人材の育成・サクセッションプランの一環としても、有効に機能させていきたいと考えています。

オートオークション市場とUSSのシェア

新たなアルミリサイクルをスタートさせるなど次の柱となりうるリサイクル事業の育成を進め、事業ポートフォリオの拡充を図っていきます。

 オートオークションに続く次の柱となりうるリサイクル事業では、2023年度、資源リサイクル事業を展開する株式会社アビヅ、プラントリサイクル事業を展開する株式会社SMARTのそれぞれが、前年度を上回る売上高50億円以上を達成し、リサイクル事業合計では100億円を超える売上高となりました。今後、2027年度に資源リサイクル事業で売上高100億円、2026年度にプラントリサイクル事業で売上高100億円を目標に、事業拡大を目指していきます。
 株式会社アビヅでは、新たな設備を欧州から購入し、2025年度以降にアルミニウムの高度なマテリアルリサイクルを事業化する予定です。従来のアルミニウムリサイクルは、より品質の劣った素材として再生する「カスケードリサイクル」が大半でした。しかし、新導入の設備によって、回収したアルミニウムの品質を精緻に判別できるようになるため、元の品質レベルと同等のアルミニウムとして再生する「水平リサイクル」が可能になります。これによって販売価格を高めることができます。プラントリサイクル事業では、2023年度の青森県での風力発電設備解体撤去工事の実績が評価され、茨城県の風力発電設備解体撤去工事を受注しました。安全性が重視される解体工事では、実績と経験が重要になります。今後も実績を積み重ね、事業を拡大していきます。
 オートオークション周辺事業については、2023年4月にスタートした新たなオートローンが好調で、2024年3月までの1年間で加盟店は650社になりました。その多くはオートオークション会員の中古車販売店です。そして20,000件以上のオートローンの申し込みがあり、そのうち4,000件・57億円の契約を獲得できました。このローンをより多くの人々に車を販売するツールとして活用していただき、中古車販売が伸びると、当社のオートオークションの利用増にもつながります。加盟店をさらに拡大し、会員とのWIN-WINの関係を強化していきます。

自動車用アルミニウムリサイクルの市場性と課題

サーキュラーエコノミーに寄与する企業グループとして持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な成長を目指します。

 USSグループの事業は、循環型社会やサーキュラーエコノミーの構築に寄与するビジネスであると認識しています。オートオークションそのものが自動車流通の循環に貢献しており、取扱量が増えれば、それだけ循環型社会・サーキュラーエコノミーへの貢献度が増していくものだと考えています。また、リサイクル事業でも実益をともなった資源リサイクルに注力していくことで、同様の貢献ができるのではないかと考えています。先述したアルミニウムのリサイクルに加え、2030年代には年間80万トン(約4,000万枚分)の廃棄が見込まれている太陽光パネルのリユース・リサイクル事業にも参画する予定です。
 こうした社会性と利益を両立した事業を展開していくことで、持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値を高めていきます。

代表取締役社長 兼 最高執行責任者(COO)