オートオークション事業のシェア拡大を軸に持続的な成長に向けた戦略を推進します。

過去最高の業績を達成し、25期連続の増配を実現。
2025年度も増収増益を見込んでいます。

 2024年度は、オートオークション事業が極めて好調に推移しました。業績の伸長を牽引した要因は、出品台数の増加だけでなく、成約台数が大幅に増加したことです。東京会場では、夜遅くまでかかっていたセリ時間の短縮を目指してレーン数を16レーンに増強したところ、セリの終了時間を早められただけでなく、売れ行きの良い夕方の出品枠に空きができ、より多くの出品車を受け入れられるようになったことが好材料でした。また、人気車種や高級車など質の高い車の出品割合が高いことも業績に寄与しています。なにより、長年培ってきた公平・公正な取引というブランド評価があるからこそ、集中的に出品が増加したと感じています。
 2024年度の業績については、売上高104,021百万円(前期比6.6%増)、営業利益54,206百万円(前期比10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益37,636百万円(前期比14.4%増)と過去最高の業績となり、4期連続の増収増益を達成できました。ROE(自己資本当期純利益率)も18.9%となり、中期的な目標としている15%以上の水準を4期連続で達成できました。株主還元については、好調な業績を踏まえて1株当たり年間配当金を株式分割後基準で43.4円(配当性向55.0%)とし、株式上場以来25期連続の増配を達成しました。
 2025年度の業績は、売上高111,800百万円(前期比7.5%増)、営業利益56,500百万円(前期比4.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益38,850百万円(前期比3.2%増)を計画しています。1株当たり年間配当金については、50円40銭と予想し、26期連続増配を目指しています。
 中古自動車等買取販売事業は、上期は堅調に推移したものの、下期は台当たり粗利益が減少し、通期では昨年と同水準での着地となりました。
 リサイクル事業については、プラントリサイクルの利益水準が2023年度、2024年度と比較して大きく低下しました。
 さて、2025年度第1四半期(4月~6月)の業績は、新車登録台数が引き続き回復傾向にあり、オートオークション事業においては、出品台数が907千台(前年同期比20.4%増)、成約台数が571千台(前年同期比7.8%増)、成約率は62.9%(前年同期実績70.3%)と好調に推移しました。その結果、連結業績は売上高27,389百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益14,708百万円(前年同期比9.4%増)といずれも過去最高を更新し、通期の業績見通しおよび配当予想も上方修正しました

※ 業績見通しは2025年8月5日に修正した内容を反映しています。

市場シェア50%に向けた戦略プロジェクトを通じて会員・出品の拡大につながる施策を実行しています。

 こうした状況のもと、USSは2025年度から中長期経営目標について、オートオークション事業にリソースを集中させ、後述する戦略プロジェクト「シェア50」の実現によって全社の成長を牽引する方針に転換しました。財務目標については、ROEを15%以上から20%以上へ、配当性向を55%以上から60%以上へ、総還元性向を2025年度から3か年で80%以上から100%以上へと引き上げます。
 この中長期経営目標の達成に向けて、2024年4月から、経営陣と幹部社員が中心となり、外部専門家の知見を取り入れながら、戦略プロジェクト「シェア50」を始動させました。

 事業環境やマーケットの動向を調査・考慮したうえで、シェア50%獲得という最終目標の実現に向けて、まずは今後数年間、市場シェア45%の獲得を計画。新たに策定した戦略ロードマップでは、オークション会場の設備などのハード面および情報提供・解析などのソフト面の両軸でのサービス品質向上を、目標達成に向けた重要要素として位置付けています。
 戦略プロジェクト「シェア50」の活動では、新規会員獲得や出品台数拡大などの課題に対して90日間の短期集中で成果を上げる「ブレークスループロジェクト」を発足させ、複数の施策を実施しています。
 また営業施策だけでなく、若手従業員の活躍を促進する職場環境改善プロジェクトも推進しています。これは従業員自らが主体的に課題を認識し、改善策を考え自律的に行動に移すことを促す取り組みです。現場の従業員の主体性を尊重し、成果を追求しながら個々の人材力の向上を図り、人材基盤を強化していく考えです。 システム面の強化も、戦略プロジェクト「シェア50」の重点施策の一つです。オートオークションで収集・蓄積したビッグデータを活用し、出品情報や業務支援サービスを会員向けに提供する「USSデジタルプラットフォーム」の構築を進めています。このプラットフォームは、当社の営業力強化や業務効率化にも寄与し、シェア拡大に向けた強力な推進力になると考えています。
 長期的な事業環境の変化にも注視しながら、まずは3年後のオートオークション市場シェア45%達成に向けて全力で戦略プロジェクトを推進していきます。

リサイクル事業全体の収益安定化を基本方針に、既存事業の深化と新領域への事業拡大を進め、事業ポートフォリオの多角化を図ります。

 リサイクル事業においては、安定収益の確保を基本方針としています。資源リサイクル事業を展開する株式会社アビヅ、プラントリサイクル事業を展開する株式会社SMARTでは、それぞれ売上高100億円を目指します。
 資源リサイクル事業では、アルミニウムの水平リサイクルや太陽光パネルのリサイクルの事業化を加速させていきます。また、近年需要が増加傾向にあるIT関連機器のリサイクルにも事業を拡大していく計画です。
 プラントリサイクル事業では、収益性の回復を図るべく営業活動を強化するとともに、パートナーであるSMFLみらいパートナーズ(三井住友ファイナンス&リースの完全子会社)との連携を深めながら、SMBCグループの情報やノウハウを活用し、受注拡大を目指しています。
 2023年4月には、株式会社USSサポートサービスがオートローンの提供を開始し、2事業年度が経過しました。2025年3月末時点で加盟店数は約850社、オートローン実行実績は約8,000件となりました。
 今後も、こうした循環型社会やサーキュラーエコノミーの実現に貢献する事業を含め、既存事業の強化と事業ポートフォリオの多角化を進めます。中核には「公平・公正なオートオークション」事業を据え、お客様や従業員をはじめすべてのステークホルダーの皆様から信用・信頼を得られ続ける存在を目指して企業価値を高めていきます。

代表取締役社長 兼
最高執行責任者(COO)